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新刊紹介全く新機軸からの山頂測候所存続呼びかけ

「変わる富士山測候所」(江戸川大学土器屋由紀子ゼミ編)

富士山にかかわりを持つ者は、みな情熱的な人が多い。富士講の代参も、生半可な気持ちではとても続かない。今回紹介する「変わる富士山測候所」の著者たちも、また、視点は異なっているが、情熱的である。

昨年(2004年)の秋、富士山頂測候所は無人測候所になった。科学の進歩で、富士山レーダーの役割が気象衛星に変わり、富士山レーダーは記念として下界(山梨県富士吉田市)のレーダードーム館に展示された。風向や雨量などの計測も自動化されたのだろうか、いずれにしても無人でデーターが地上に送られ、有人での観測が不要になったので、無人化されたのだろう。過去に4名もの殉職者を出した富士山頂勤務をしなくて良くなったことは歓迎されるべきことだろう。

しかし、この著書の内容を読むと、実は気象観測データーは気象観測以外の学術研究にたくさん使われている。今回の無人化では、その部分の観測が中断されてしまい、研究に支障がでるので、山頂測候所をなんとか存続できないか、そんな内容が熱く語られている。

地球を取り巻く環境の変化を学問的に追いかける、いわば基礎の基礎を把握する学問だと思うが、外国人に「ノーベル化学賞」をもらうと、突然評価が変わるが、そうでないと全く無視する風土では、この著者たちの声が実を結ぶのには高いハードルがある国だと思う。国民年金など国の事業では、相当の無駄遣いをしているのだから、もっと真剣に取り組んで将来の基礎を地道に作る方向へ転換が必要だろう。

ところで、富士山頂での気象観測を始めた「野中至」も情熱家だった。彼は、その一部始終を自著「富士案内」に残している。こちらは復刻本が古本として一部古書店に流通している。

正式な富士山測候所ができた後の経過は富士山測候所長を経験した志崎大策氏が記した「富士山測候所物語」に詳しい。新刊ではないが、最も入手しやすいと思われる。

富士山頂については、新田次郎が小説「富士山頂」を1974年に発表しているが、これは現在でも単行本で販売されている。この小説を基にして映画「富士山頂」が制作されている。この小説は作者が新田次郎という富士山測候所を設置した当時の担当者だったので、非常に具体的で、正確な記述と言われている。

富士山頂にレーダードームを設置する過程はNHKのプロジェクトXで紹介され、ビデオやDVDが販売されている。このDVDも現在販売されている。

日本人だけでなく世界の人々から賞賛される富士山、気象観測や地球環境保全の立場から振り返ってみることも面白いと思うので「変わる富士山測候所」出版を期に富士山頂に関する出版物を振り返ってみました。

富士山頂に関する過去のページはこちらです。富士山頂気象観測歴史レーダードーム館

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