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富士山と人(1)

10万年以上かけて創られた4層の富士

先土器時代・縄文時代にもあった富士山と人とのかかわり

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3776m国内最高峰、360度どちらの方向から眺めても八の字型の秀麗な姿を見ることができる単独峰、冬には真っ白な雪化粧、夏には真っ赤な火山砂礫の山肌など四季折々に様々な姿に変身する富士山。
富士山は地元の人だけでなく、日本中の人はもちろん、世界の人々にも、世界を代表する山の一つとして親しまれ、多くの人から心の支えとして畏敬の気持ちで支持されている。

富士山は、古くから人と深い関わりを持ってきたと言われている。文書として記録されたものとしては平安時代後期に都良香の「富士山記」が登山記録として知られているが、有史以前にも富士山周辺で多くの集落があったと思われる遺跡が発掘されている。そこでは、富士山との関係を示唆する石物群が発掘されている。
富士山と人とは、いつ頃から関わりを持っていたのだろうか。
そもそも富士山はいつ頃から現在の形だったのだろうか。
今年2008年富士北麓−瑞穂通信では「富士山と人」をテーマに富士山を考えてみたいと思っている。

狩猟の場を提供する古富士北麓

最近の地質学の研究では、富士山が4層構造だったことが解明されている。富士山の下には、「古富士火山」、「小御岳火山」、そして最近分かってきた「先小御岳火山」があると言われている。
現在私たちが見ているのは、最上層の富士山で「新富士火山」と呼ばれている。上図は東大地震研究所の報告から写した富士山形成を南北の断面で見た図だ。
最近発見された先小御岳火山は南側にある愛鷹火山ができた50万年から数10万年前のと同じ時期に生成されたと考えられている。先小御岳火山にかぶさるように小御岳火山が生成したのは数10万年から10万年前と考えられている。小御岳火山は山梨県側のスバルライン五合目に山体の一部が露出していることで知られている。この時代にも人類は富士山周辺で生活していたと思うが、激しい火山活動で発生した溶岩や火山灰の下になっているのか解明は進んでいない。
富士山の土台となっている古富士火山は10万年から1万年前にかけて生成されたといわれている。古富士火山は度重なる火山活動によると見られる溶岩流と泥流堆積物が何層にも重なってできている多層構造になっている。古富士火山灰の特徴的赤土は宝永火口に一部が露出しているが、関東全体に関東ローム層として広く分布していることで知られている。
古富士火山の上に1万年前から現在までに新富士火山の噴火によって現在の富士山ができている。新富士火山の最後の噴火は300年前の宝永噴火だ。

古富士火山が生成された最後期、紀元前1万5千年程前は考古学では先土器時代になるが、この時代には既に、南部町(旧富沢町)万沢の天神堂遺跡や北斗市(旧高根町)丘の公園遺跡で知られるように人々が生活していた痕跡が見つかっている。水があり、狩猟の基地となる場所には群落の可能性があり、古富士山麓にも少なくない住民がいたと考えられる。
今より低いといえ、噴煙を上げる古富士火山は当時の人々にとって、自然の驚異であり、積雪時に発生する噴火は、火砕流や溶岩流だけでなく大規模な雪代なども発生させ、人力では防ぎようがない災害をもたらしていたと考えられる。
災害から逃れるためには、噴火による被害が及ぶ圏外に逃げることだけしかできなかったと考えられ、住居は古富士から一定程度離れた場所になったと考えても不思議ではない。火山灰は当時も偏西風によって東側に大量に降下したと考えると、人々は主に東側を避けた地域に住居を求めたと考えられる。火山の被害があったと言え噴火は一時的出来事で、山からの水が豊富で動物の餌となる落葉樹の林が広がる古富士火山山麓は狩猟に好都合で火山と付かず離れず共生する古代人の生活は長く続いたと言える。この生活は新富士火山の大噴火でも変わらず、縄文時代に引き継がれていく。

新富士火山の生成は先土器時代から縄文時代最初の草創期にかけて古富士火山を覆い隠すように流動性の高い玄武岩溶岩を大量に噴出する爆発で始まった。紀元前1万1000年から8000年と言われている。富士吉田市北部を流れ、大月まで達し、猿橋の架かる猿橋溶岩流、三島市街地まで達した三島溶岩流など大量の溶岩流を伴う噴火が続き、ほぼ現在の富士山の容貌が形成された。
縄文時代前期から後期にかけた紀元前その後の富士山の噴火は側火山の噴火の歴史と変化する。8000年前から6000年前にかけて北麓にある忍野村の大臼、小臼火口、二つ山火口などから次々に噴火、小さな噴火口が生成されている。北部最大の側火山の大室山は3000年前、そして300年前に宝永山が爆発している。 つづく

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