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火祭りの一日

吉田の火祭り
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日本三奇祭 吉田の火祭り           
これはなんだ!道路の真ん中に3mもの大松明が1.5kmに渡って数十本も並んでいるぞ。
その上、道路わきの家の前には井桁に組んだ薪が積み上げられているではないか。
8月26日夕方、まだ明るいのに、どこからともなく、ここ富士吉田市上吉田の街には浴衣姿や登山姿など、さまざまな姿のリラックスした人々が集まってきた。その数、十数万人に上る。(2007年は18万5千人と報道された)
富士吉田駅を下車して、近くの交差点に行くと、そこには金鳥居(かなどりい)と呼ばれる大きな鳥居が道路にまたがっている。
これは北口本宮富士浅間神社の一の鳥居で、ここから上が参道になっている。
鳥居の周辺は立錐の余地がないほどの人でごった返している。
やや薄暗くなってきた頃、シャンシャンシャンと鈴の音が聞こえてきた。雑踏の中を、その方向を見ると群衆の頭の上をいくつもの提灯がゆれながら近づいてくる。
突然目の前の群集が左右に割れて、間から祭り半纏姿の若衆が手に提灯の長い柄を握り飛び出してきた。周りが熱い。顔が火照る。見回すと、周辺の家々の前の井桁のまきにはすでに火がつけられ、炎がぼうぼうと立上っている。
大松明の下に到着した祭り半纏の若衆が車座になってごそごそしていると、ポーっと小さな灯りが点いた。若衆は火の点いた長い棒の先を大松明の上に持っていった。
火はみるみる大松明に燃え移り、群集の頭上でパチパチと火花を散らしながら燃え上がった。
見上げると、暗闇の中に金鳥居に掲げられた「富士山」の額が赤々と照らし出されて浮き上って見えた。
パシャ、パシャ、パシャ 点火と同時に数十台のカメラのフラッシュがたかれた。報道のカメラも数台回っている。拍手が沸きあがる。群集が富士山に向かって揺れる。
炎に焦がされた夜空の闇の中を見上げると、上空遥か先に点々とひときわ明るい点がジグザグにつながって上空に伸びている。その位置は、昼間見た富士山の姿と重なっている。
吉田口登山道の山小屋の灯りだ。この夜は山小屋でも篝火がたかれ、熱い夏の終わりを惜しむかのようにいつもより燦然と輝いて見えるのだ。
200年以上毎年続いてきた吉田の火祭りは、こうして今年も口火を切る。
参道の両側には裸電球をいくつも吊り下げた色々な屋台も軒を連ねて、昼間のような明るさだ。上から舞い降りてくる火の粉と下から巻き上げてくる炎は全身を丸焼きにするような勢いで襲い掛かってくる。足元には、燃え盛る大松明や薪から飛び散った、まだ赤々とした赤松の墨が散らばり、その熱がジワッと襲ってくる。

そんな熱々の空間を、大勢の人は好むかのように縫って富士山に向かう。短い夏の終わりを惜しむかのように、深夜まで人の波は続く。

吉田の火祭り

火を祭礼に用いることは有史以前から続いている人類に共通した行為だ。吉田の火祭りもそうした祭祀の行事として連綿と続いてきたことだろう。炎に包まれると、体中の災いの元が身体から追い出された気分になるから不思議だ。テレビなどバーチャルでは味わえない迫力は、ありがたみさえ感じさせてくれると思うのは、著者が歳を取った所為だろうか。

みなさんもぜひ肌で熱さを感じてみてください。お待ちしています。

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